シードKWがMECEに発掘できる理由
seed-kw(シードKW)スキルは、思いつきで語を並べるのではなく、商材を**座標系(格文法)**に落として網羅する設計になっています。このため、出てくるキーワードが MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive=ダブりなく・漏れなく)に近づきます。このページでは、その「漏れなく(完全網羅)」と「ダブりなく(相互排他)」が、フレームのどの仕掛けから生まれるのかを説明します。
ヒント
一言でいうと——すべてのキーワードに「座標」を必ず付け、座標を言えない語は捨てる。そして座標の各軸が「閉じた値の集合」(P は 6 値、A は 5 値…と凍結され、勝手に増やせない)になっているため、軸を機械的に走査すれば "取りうる組み合わせ" が全部出て、しかも 1 語が 1 座標に定まるので二重計上が起きません。これが MECE の実体です。
なぜ普通のKW出しはMECEにならないのか
サジェスト・共起語・競合KWを集めるやり方は、すでに検索されている語しか拾えません。ボトルネックが上流(まだ悩みを自覚していない・カテゴリ名を知らない)にある商材では、本丸KWの検索量が極小なので、本丸起点のリサーチでは市場の 1 割しか見えません。また「どこまで出せば終わりか」の基準がないため、漏れているのに気づけない・同じ語を別角度から重複して数えるという 2 つの失敗が同時に起きます。seed-kw は、この 2 つを座標系と検査で構造的に潰します。
「漏れなく(完全網羅)」を作る 4 つの仕掛け
1. 各軸が閉じた値集合(凍結)
キーワードの座標は P·DMU·O·D·X·S ⊕ A の各軸に付きますが、それぞれの取りうる値が固定されています。
| 軸 | 値の数 | 網羅の根拠 |
|---|---|---|
P 主体格 | 6値 | 検索している「人」を当事者/代理/供給側/相手方…で分割し尽くす |
D 需要の方向 | 6値 | 対象の保有状態の遷移(無→有/有→良/有→有/未知→既知/悪→正/有→無)の完全分割 |
O 発火因 | 6値+派生 | 需要が点火する「きっかけ」を内発/外部事象/ルール/移行/周期/情報接触で網羅 |
X 対象格 | 8値 | 「何に対する需要か」を身体〜時間・場所まで |
A 接続格 | 5値 | 連結を作る媒体は「ルール/時間/場面/対象物/人格」の 5 つしかない(明示的な MECE 根拠) |
SW スイッチ | 7本で凍結 | 商材が持ちうる特殊性(ルール/資産/役割/機微/周期/商圏/枠)を判定で拾う |
サブエージェントは軸・格・オペレータを新設してはならないというルールがあり、値集合は 33 走行で検証済みの状態で凍結されています。だから「軸を上から順に当てる」だけで、その商材で立ちうる帯(キーワードの集合)が出揃います。→ 各軸の詳しい値は 記号の早見表 を参照。
2. P×D マトリクス(36 セル)を全判定する
P(6値)×D(6値)= 36 セルを、1 つ残らず ○(市場あり)/△/×(市場なし)で判定します。ポイントは、×(市場が存在しない)と判定したセルには「なぜ市場がないか」の根拠を 1 行必ず書くこと。
重要
「空セル」と「まだ見ていないセル」を区別できることが、完全網羅の肝です。判定の跡(× の根拠)が残るので、後から「本当に市場がないのか、単に見落としたのか」を第三者が検証できます(品質基準 A1)。
3. スイッチ7本で「見落としがちな帯」を起動する
商材ごとに SW1〜SW7 を ON/OFF 判定し、ON のスイッチだけが対応モジュール(M1〜M7)を起動して、その商材固有の帯を生成します。たとえば SW2(耐久資産)が ON なら A4(売る前の処置)や D6(処分)の帯が、SW7(供給有限性)が ON なら「枠の競争」帯が立ちます。OFF 判定にも根拠を書くため、「見ていないから出なかった」を「見た上で不要と判断した」に変換でき、漏れが根拠付きで塞がれます。→ スイッチ SW1〜SW7・モジュール M1〜M7
4. ボトルネック T で「集める語彙」を切り替える
顧客がどの遷移で詰まっているか(T1〜T5・L)によって、集めるべき語彙が丸ごと変わります。T2(問題未自覚)なら兆候語、T3(解決策未認知)なら 5 つの山、T4(検討凍結)なら凍結語+トリガー語…と、詰まりの位置に応じた帯を必ず立てます。ここを外すと、検索量の大きい上流の帯を丸ごと落とします。→ 戦略分析の記号(S・遷移・T)
「ダブりなく(相互排他)」を作る仕掛け
1 語=1 座標/1 帯=1 担当
- 1 語は 1 つの座標に定まる(座標を言えない語は書かない=品質基準 B1)。座標が違えば別の帯、同じなら同じ帯なので、生成の基本単位が重ならない。
- 帯マップで各帯を正確に 1 体のエージェントへ排他割り当てします(無主=誰も作らない/二重所有=2 体が作る、をなくす)。分割軸は 1 本だけ(P 分割と T 帯分割を併用しない)にして、同じ「そろそろ」「もう限界」系の語を 2 か所で二重生成しないようにします。
例外:同語異格(B4)は「消さない」
同じ表記の語でも格(座標)が違えば別のキーワードとして残します(例:前段商材の語が本体側の格でも必要)。重複排除で消すのは「同じ格の同じ語」だけ。ここを取り違えて表記だけで消すと、相互排他のつもりで別の帯を潰してしまうため、B4(同語異格チェック)で明示的に守ります。
検査で MECE を担保する
生成後、視点の異なる 4 つの検査を独立したエージェントで並行して回し、網羅と排他を別々の目で確認します。
| 検査 | レンズ | 守るもの |
|---|---|---|
check-a | 帯が揃っているか(構造) | 完全網羅(取りこぼし=漏れ) |
check-b | 座標が付いているか(構造) | 相互排他+トレーサビリティ(無主・二重所有) |
check-real | 人間が検索窓に打つ語か(中身) | 座標は正しいが誰も検索しない機械生成語を除く |
calibrate | 過去 33 走行の実績と整合するか(歴史) | 語数・型が過去プロファイルから外れていないか |
重要
検査エージェントは指摘だけを返し、自分で補充しません。「見つけたので補いました」を許すと、何が漏れていたのかが記録に残らず検査が機能しなくなるためです。漏れは指摘として上がり、オーケストレータが埋め直します。
まとめ
| MECE の要素 | それを作る仕掛け |
|---|---|
| 漏れなく(CE) | 閉じた値集合(凍結された格・スイッチ)/P×D 36 セル全判定・× に根拠/スイッチで固有帯を起動・OFF にも根拠/ボトルネック T で上流の帯を確保 |
| ダブりなく(ME) | 1 語=1 座標・座標を言えない語は捨てる/1 帯=1 担当の排他割り当て・分割軸は 1 本/同語異格(B4)は格が違えば残し、同格同語だけ排除 |
| 担保 | 視点の違う 4 検査(a=網羅・b=座標・real=実在性・calibrate=歴史)を独立に並走 |
つまり seed-kw の MECE は「頑張って網羅する」という気合いではなく、座標を必須にし、軸を凍結し、判定の跡(× の根拠・OFF の根拠)を残し、独立検査で確かめるという仕組みから生まれています。